2020年度 修士論文中間審査会
2月26日に、理工学研究科 基礎理工学専攻 生物化学専修の修士論文中間審査会が開催されました。当研究室の廣谷君が「雌雄で卵サイズが異なるゴカイ(Dinophilus sp.)における性決定について」というタイトルで、佐藤さんが「イトマキヒトデの変態制御機構解明に向けた分子基盤の構築」というタイトルで、それぞれ発表しました。卒論、修論審査会と同様、今回もオンライン開催となりました。さすがにこれだけ続くと、皆慣れてきますね。中間審査会は、例年、午前中にショートプレゼンテーション があり、午後にポスター発表という形式です。今年度は、Zoomを利用し、ショートプレゼンテーションは通常のオンライン会議のスタイルで、ポスター発表は、各自に割り当てられたブレイクアウトルームでスライドを使いながら発表するというスタイルでした。ポスターセッションは2組に分けて、前半、後半の入れ替え制で行われました。
今回の審査会は、廣谷君、佐藤さん共に自宅からの参加だったため、スタッフはラボでその様子を見守るという形になりました。そうなると、全員が同じ発表を聞いているショートプレゼンはいいのですが、ポスターセッションでの個々のブレイクアウトルームになかなか入りづらいのが難点です。発表を聞いてくれている人がたくさんいる場合はこそっと紛れ込めばいいのですが、数人しかいないところにラボのスタッフが入っていくと、発表を聞いてくれている人のほうがアウェーという状況になってしまうのでお互い気を使います(笑) 結局、メンバーのポスター発表はほとんど見れず、やきもきしたまま終わってしまいました(苦笑)
さて、肝心の発表内容ですが、今回の中間審査会の内容については残念ながらあまり公開できないため、簡単に触りの部分だけ紹介しておきたいと思います。廣谷君が研究しているゴカイは、受精前から雌雄で卵サイズが異なっていて、矮性のオスは卵嚢内で交尾して一生を終えるという非常に面白いライフサイクル(極端な性的二形)を持っているのです(主要なテーマも参照ください)。廣谷君は、このゴカイの雌雄が、遺伝要因で決まるのか、環境要因で決まるのか、そしてそれがいつ決まるのかについて調べています。非常に難しいテーマですが、少しずつデータが出始めており、今後の展開が楽しみです。
一方、佐藤さんは、ヒトデの変態過程に免疫システムがどのように関わるのかという視点で研究を進めてきました(こちらも主要なテーマの「ヒトデにおける個体性の確立と変態」を参照ください)。変態過程のステージ分類を行い、分類した変態過程のトランスクリプトームデータを取得して、解析を進めています。変態過程における免疫システムの関与というテーマですが、トランスクリプトームデータの解析を進める中で非常に面白い仮説が得られており、こちらも今後の発展に非常に期待しているところです。
さて、これで、2020年度のイベントはほぼ終了しました。今年度は、新型コロナウイルスの流行に始まり、非常に困難な一年になりましたが、何とか無事に1年を終えることができてホッとしています。当然、思った以上に研究に割く時間が取れず悶々とした1年でしたが、一方で、それなりに将来性のあるデータをしっかり取れた1年でもありました。この1年が今後どう生きるかが楽しみですね。